第1章 個性の話
相澤side
たまたま寮にきていた時
外に不穏な空気を感じとって大声を上げる
「委員長っ!全員を避難させろっ!」
「相澤先生っ?!なんだかよく分からないがみんなっ!すぐに外へでたまえっ!」
さすがの生徒達の反応速度だったが
奇襲をかけられた事で一歩反応が遅れてしまった
次の瞬間には寮内が淡いピンクと紫色の煙が充満し始めた
「まずいっ‥奥の部屋にヒーリングガールが‥俺は外のヴィランを捕まえるから誰か頼むっ!」
生徒達に大事な先生を任して外へ飛び出す
どんな個性かは分からないが
本人達自体は強力な力を持ち合わせていないようで捕縛布の中で大人しく捕まっている
「相澤先生っ‥先生の様子が‥っ」
緑谷の腕の中に抱き抱えられていた華奢な身体
嫌な予感に心臓が引き攣りそうだった
いや‥‥それだけじゃない
自身の身体もまた何か違和感を感じていた
「個性をっ‥解除できないのかっ?!にっ‥俺たちに何をしたっ‥?!」
突如として襲ってくる急激な疼きと熱に息が上がる
「残念‥一度発動してしまった個性は俺たちの力でどうこう出来るもんじゃない‥せいぜい一ヶ月、雄英の名を地に貶めるがいい」
「待て‥っ!一カ月‥?!おい‥逃げるなっ‥」
突如として現れた黒い泥のようなものに吸い込まれるようにして
するりと捕縛布の中から2人が姿を消してしまった
「緑谷‥ヒーリングガールをこっちに‥!お前らの身体はどうなってる?!」
俺の必死の形相に肩をびくんと揺らした緑谷が慌ててを運んでくる
手渡された身体は熱を持っていて
呼吸は少し荒い
今は気を失っているようだが命に別条はなさそうに見える
「俺たちは大丈夫だぜ先生っ!なんか‥ムラムラっ‥?身体がおかしいけどよ‥っ」
ふんっと身体を硬化させた切島の顔も熱にあてられたように赤い
「おいおい‥A組は一体どうなってんだっ?!」
白シャツの襟元を緩めながら話す物間の顔も赤くはぁはぁと息を荒げる
「これは一体‥」
マスクを下げる心操の顔も
気付けば周りにいる全員が何かを堪えるように熱い吐息をもらす