第1章 個性の話
ピンキーが大きく手を振っている
『みんな気をつけてっ‥元気に帰ってきてね!』
「先生も‥お風邪など召されませぬよう」
「峯田ちゃんが先生を襲わないように‥みんな頼んだわよ」
クリエティやフロッピーが心配そうに眉をさげる
「先生の事は任せろ梅雨ちゃんくん!この委員長、飯田天哉が寮の中全員をまとめてみせる!」
「僕たちも‥先生の事守るから大丈夫だよ!ね、カッちゃん」
優しい眼差し
緑谷くんの個性の事はオールマイトから聞いていて知っている
秘密を共有する数少ない1人として
この子の事は何としてもでも守りたい
『飯田くん‥デクくん‥ありがとう!』
緑谷くんの横をズカズカと通り過ぎながら私の横に爆豪くんが並ぶ
「うっせぇデク!俺がいりゃあ大丈夫だろうが!ったく‥そのニヤケた面なんとかなんねぇのかよ‥」
キッと私を見据える
赤いビー玉のような綺麗な瞳
『爆豪くんもありがとね』
とっても強い個性なのは知ってるけれど
繊細な性格と
同じく秘密を共有する身としては
爆豪くんのこともちゃんと守ってあげたい
「っ‥んの笑顔が反則だっつてんだろうが‥」
『‥?』
「あぁぁあ〜っ!なんでオイラはこんな時にインターンなんだよっ‥せっかく副担任のこのえっっろくて尋常じゃなく可愛い先生が一ヶ月も一緒に寮生活してくれるってのによぉ!夜だけ帰ってきたらだめなのかよーーっ!」
「峯田‥俺たちも一緒だ‥頑張ろう」
「せめてっ‥せめてあの白衣の下の豊満なおっぱいを‥っ」
『ひゃあっ?!』
突然峯田君が抱きついてきて思わずびっくりしちゃったけど
次の瞬間には捕縛布にぐるぐる巻にされていた
「なんかあったらすぐに報告だ委員長‥分かったな?」
私を自分の背中の後ろに隠して相澤先生が飯田くんをみる
「はいっ!!何もないようにつとめますっ!!」
ガバっとロボットのような固い動きで勢いよく頭を下げる
『いってらっしゃい〜!!』
みんなの姿が見えなくなるまで手を振ってから寮の中に入る
今日からの一ヶ月
あんな事になるとはこの時の私は夢にも思っていなかった