第1章 個性の話
私の個性
「治癒」
リカバリーガールを血縁に持つ私も同じ治癒の個性を持っていた
ヒーローに憧れてこの世界に飛び込んで
それからこの雄英高校で働かせてもらっている
職員室にいると廊下からちょいちょいと手招きをされる
「先生‥ちょっといいか?」
『相澤先生‥どうされました?』
「ここじゃなんだから‥休憩室で」
教師達の休憩室に入って
相澤先生にお茶を出して向かい合って座る
「ここ最近、女性ヴィラン集団の犯罪が活発化してるのは知ってるよな‥?」
『はい‥なんでも男性の方達の個性は何も効かないから、プロの女性ヒーロー達が出動してるとか‥』
「そうだ‥その集団が何やら怪しい動きを見せているみたいでな、来月末に大規模な犯罪が決行されると噂されている」
『それは大変っ‥』
「そこでだ‥奴らに気づかれないように一ヶ月間ミッドナイトを筆頭に雄英一年の女子生徒達が潜り込むことになった」
『そんな大掛かりなっ?!相手に気取られないでしょうか‥』
目の前に座る相澤先生をバっと見つめるとゆっくりとお茶を啜りながら私の目をみる
「表向きは女子の強化合宿と言うことになっている」
過去にも何度か
そういった合宿があったことは耳にした事があった
『それで‥私もその任務に同行すると言うことでしょうか?』
「任務にはリカバリーガールに同行してもらう事となった‥そこでその一ヶ月間、先生に寮の奴らの面倒とリカバリーガールの代わりとして頑張ってもらいたい」
『リカバリーガールの代わり‥頑張りますっ!』
「ヒーリングガールの活躍、楽しみにしてるぞ」
柔らかな笑みを浮かべた相澤先生が私の頭をくしゃりと撫でて立ち上がる
憧れのイレイザーヘッド
尊敬できて
生徒思いで
とてもカッコいい
襲われそうになっていた時
私を助けてくれたヒーロー
そんな相澤先生のもとで働くのは私の夢だった
冷静で沈着
そんな先生が突如豹変したのはみんなが出発した日の翌日
先生だけじゃなく‥様子がおかしいのは寮の中の皆んなもおんなじだった
「せんせ〜!いってきまーすっ!」