第15章 day11 切島鋭児郎
ファットガムside
『ファットさーん!!お久しぶりです!お元気ですか?』
俺を見るなり子供みたいに嬉しそうに抱きついてきたちゃん
いつもやったら脂肪が程よい距離感を保つけど
直に筋肉に触れる柔らかい身体に内心心臓がバクバクして
切島くんにバレへんようにするんで精一杯やった
初めて任務で一緒んなった時から
こんなに可愛いのになんも気取らんと
めっちゃええ子やし
人懐っこくてほんま可愛いなぁ思っとったけど
相変わらず
見た目も性格も全部ひっくるめて可愛くて
たこ焼きをはふはふと頬張る横顔をちらりとみる
湯気が上がるほどあっついたこ焼きに頬を染めて
キラッキラの笑顔でふいにこっちを見る
『やっぱりたこ焼き最高ですね!大好きです!』
「ほんまか!それは嬉しいわぁ〜いつでも食べにきてや」
『いいんですか?!お休みのたびに来ちゃうかも‥』
ふふっと無邪気に微笑む姿に
数日前の出来事がほんまか疑いそうになるくらいや
表向きには詳しくは何も報道されてへんけど
イレイザーやホークスから話を聞いたところ
随分酷いことされとったみたいやから
それでも
この子は周りに迷惑も心配も掛けへんためにこうやって笑うんやろな
自分の痛みに気付かへんフリして
『ファットさん?!なんで泣いてるんですか?!』
「‥何でもないねん‥健気で可愛くて守ってやりたいなぁって思っただけや‥」
『たこ焼き!食べましょう!美味しいもの食べたら元気出ますし!ね!』
そういうとでっかいたこ焼きを箸で掴んで
ふぅふぅと小さな口で息を吹きかけてから
俺の目の前に差し出した
『はいっ!どうぞ?』
「あ‥あーん‥?!」
切島くんが衝撃を受けたように顔を真っ赤に染めてこっちを見とるけど
当の本人は至って真面目で
一呼吸置いてから自分で気付いて顔を赤く染める
『すみませんっ‥ついっ‥‥』
ヒーリングガールは社会貢献の一環として
幼稚園や小学校も毎月行っとるみたいやから
つい咄嗟に出てしもたんやろなぁと思ったら
やっぱり可愛くて
照れ隠しの為にあえて差し出されたたこ焼きにかぶりついた