第15章 day11 切島鋭児郎
「ようきたな〜!!待っとったで!」
『ファットさん!!お久しぶりです!』
「ファット!!宜しくお願いします!」
「おー!切島くんもようきたな!それにしても‥ちゃん?!そんな抱きついたらファットさん茹蛸になってまうわ」
『苦しかったですか?!すみませんっ!』
慌ててファットさんから離れるとほんとうに顔が真っ赤になってしまっていた
物間くんとの一晩を終えて
ぐっすりと眠ってしまっていた私はなんとか新幹線に乗り込んで
ファットさんの事務所にやってきた
「相変わらずえらいべっぴんさんやなぁ‥ファットさんにはええけど誰にでもこんな抱きついたらあかんで?男ってもんは大体ちゃんとどうこうなりたいって思っとるからな?俺も含めてやけどな」
『はい‥!』
「絶対分かってへん返事!でも可愛いから許す!」
「ええーっ?!」
切島くんとファットさんはいつもの調子で笑う
相変わらず賑やかな事務所の中はソースのいい香りがそこら中に漂っていた
「まぁ座り‥ちゃんも切島くんも好きなだけ食べてええからな!」
口いっぱいにたこ焼きを頬張るファットさんは
先日現れたというヴィランとの戦いで脂肪を使いすぎたと言って随分シュッとした身体になっていた
「突然呼び出してすまんかったなぁ!」
『いえっ‥お役に立てるように頑張ります!』
先日対峙したヴィランは逮捕されたものの
その仲間たちがリーダーを取り返そうと大勢で襲撃してくるとの情報が入り
急遽切島くんと私が大阪へやってきた
かなりの人数と
刃物や武器を使うと噂のヴィラン達との戦いを想定して私も切島くんに同行することになった
「それにしてもここに来るまでも凄かったらしいなぁ?」
『えっと‥何のことでしょうか?』
「ヒーリングガールの人気っぷりの話や!すごい人だかり出来てたって聞いたで」
そういえばここに来るまでの道中
たくさんの人が声をかけてくれたのを思い出す
『大阪の人達ってあったかいですよね!私、大阪大好きです!』
「んー!久しぶりのこの感じ!懐かしいわ!天然鈍感ヒーローは健在やな」