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Precious*Days【WB/短編/R18】

第1章 雨上がりの空に/十亀 条



「あ!ちゃんだ!!」

どのくらいそうしていたのだろう。
兎耳山くんの声に反応して声のした方へ視線を向ければ、2人が私を見ていた。

「迎えに来たよ」

条くんの綺麗な緑の瞳が一瞬丸くなり、次の瞬間に細めて笑みを浮かべた。

「あぁ」

「うん!帰ろう」

まるで、昔の頃に戻ったようで私は、「あぁ、もう大丈夫」なんだって、3人で肩を並べて帰った。


からの···。


「いててて···ちょっとぉ。手当雑じゃない?」

「ほら、動かないでじっとしてて!」

あの後条くんの家にお邪魔して、条くんをお風呂に連行した後で部屋で手当をしていた。

背の高い条くん、まるでヤンチャな大型犬の世話をしてるみたいだ、とか言ったら多分怒る···いや、拗ねる?だろうなぁ。

顔に出来た擦り傷に、マキロンをシュッシュッと吹き当てて絆創膏を貼る。

今回はこの程度の喧嘩で済んで良かったけれど、心配する方の身にもなって欲しいものだ、と毎回思う。

「···悪い、怒ってるぅ?」

「···。」

「···、悪かった、心配かけて」

「···、喧嘩するなとは言わない。だけど、私がどれだけ心配したか思い知れ!」

私は条くんを思い切り抱きしめた。
首筋に顔を埋めればふわりとボディーソープの甘い匂いに混じる、条くんの匂い···。

私が背中に腕を回して力ずくで抱きしめると、条くんが「ちょ、おいっ···」と珍しく戸惑ったような声を出した。

どんだけ私が心配したか、思い知ればいい···。

だからどんなに苦しがろうが、離してあげない。

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