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好意は好意のままでは終わらない

第12章 永遠


この夜、会社へ迎えに行った私に笑顔を向けた旦那様の表情は直ぐに真顔になった。

「泣いたの?何があった?全部、僕に話して。僕が留美子の憂いを晴らすから。」

切羽詰まった物言いの旦那様に、思わず笑ってしまう。そして、経緯を話した。

「そうだったんだ・・・。ごめんね?そんな時に、僕が傍にいなくて。」
「大丈夫だよ。それにしても、侑佑くんは相変わらず鋭いね。」
「僕は、留美子の為なら何だってするつもりだし、愛する人だけをずっと見ていたいから。」

マンションに戻り、二人で食事をしては何気ない会話に花を咲かせる。うん、今の私は幸せだ。

「あぁ、今なら話してもいいかな。」
「何?」
「留美子の元カレ、会社を辞めた。浮気相手を捨てて、雲隠れしたらしいよ。浮気相手は、実家に戻って実家の条件を飲むならと絶縁は解かれたそうだね。」
「条件?」
「物凄い厳しいお姑さんがいるところの家に、輿入れしたそうだね。確か・・・相手の年齢は、四十六歳だったかな。」

親くらいの相手と結婚させられたのか。でも、お嬢様育ちで自分では何も出来ない箱入り娘だから選択肢は他に無かったのだろう。それを選ばなければ、天涯孤独で自立して一人で生きて行かなければならないのだから。

「家事はお手伝いさんがいるし、ただ、後継者を作る役目だけだって言っていたよ。」
「そう・・・。」
「相手がそれなりの年齢だから、どうなるか分からないけど・・・。」
「もし、ダメだったらどうなるの?」
「ああいう家柄だから、離縁されるかもね。」
「ゆ、侑佑くんだったら?」
「僕?僕は一生、留美子と二人でも全然構わないよ。だって、僕は留美子といたいんだから。でも・・・たぶん、その心配はないと思う。」
「どうして?」
「祖母がね、そういうの見える人で・・・言われたんだ。僕は信心深い人間じゃないけど、祖母の言う事は昔から当たってたから。二人、出来るらしいよ。」
「二人?そうなの?」
「うん。家族四人で、幸せそうに笑ってるって。」

あまりにもあっけらかんと言うから、私は拍子抜けする。

「それに、僕がこんな可愛い奥さんを大切にしないなんてありえない。」

そんな事を言う旦那様に、私は笑って賛同しておいた。今の私は、こんなにも愛されて幸せだ。永遠の愛を疑わずにいられるのはカレだからだろう。

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