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好意は好意のままでは終わらない

第10章 マウント


そりゃあ、会うよね・・・地元だもの。地元でそのまま生活している同級生だっているわけだし。

そう言えば、こんな人もいたわ・・・なんて、地元での学生時代を思い返していた。大学は都心に出てしまったから、十年以上前の記憶だけど。

でも、こんな風に気安い関係じゃなかったと思うんだよね。満面笑顔で、久しぶり~っ!!なんて声を掛けて来た、高校時代の女王様って異名のあった同級生。周りには、当時から女王様が一緒につるんでいた見知った顔もいる。

「こっちに帰って来ているなら、声掛けてくれれば良かったのに~っ!!それにしても、本当に久しぶりだねっ!!」

ここまでの会話は、安易に想像出来る。そして、この後に続く言葉でさえも。

「それで・・・その人はどちら様?」
「僕は、彼女の婚約者です。」
「こ、婚約者っ!!?ほ、本当なの?こんなイケメンが?どうして・・・。」

どうして、私みたいな地味な女にって言いたいのを心の中に留めたんだろうな。

「僕からの猛アタックの結果です。」
「えっ・・・じ、冗談よね?それに、若く見えるけど何歳なの?」
「三歳年下ですね。」
「美形で年下の婚約者・・・。」

夢があるとでも思われているのだろうな。

「ね、ねぇ、明日とか暇?一緒に遊ばない?良かったら、彼も一緒に。」
「ごめんなさい。明日は彼女のご家族と、出掛ける予定があるんです。」
「そ、そうなの?じゃあ、その次は?」
「重ね重ね、ごめんなさい。明後日は僕の実家に行く予定なんですよ。僕の家族も、彼女を凄く気に入ってくれていて会いたがっていますから。」

そうなの?初耳だけど。そして、会話は女王様と彼だけで為されている。だって、女王様は私と遊びたいといいながら彼しか見ていないもの。取り巻きなんかは、彼の顔をウットリと見惚れているだけだし。

「じ、じゃあ、今、何処に住んでるの?私の方から会いに行ってもいいし。その時は、彼も一緒に遊びたいなぁ。」
「・・・・・・。」

彼の顔は笑顔だ。でも、無言になった。

「あ、あの・・・?」
「あぁ、ごめんなさい。結婚式の為に仕事が前倒しで、かなり多忙なんですよ。海外挙式にしたいって言ったばかりに、彼女にも多忙にさせてしまって心苦しく思っているくらいで・・・。」
「か、海外挙式?何処で?」
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