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好意は好意のままでは終わらない

第8章 社員旅行


気候がいい秋となり、私たちは社員旅行へ行くこととなった。目的地は、温泉地である。そして、バスの座席は私の隣りには澄子先輩・・・ではなく、ご機嫌の彼がいた。

そして、社長も社長秘書さえも傍にいる。その周りには、女性の秘書たちもいるのだけど・・・私に対する視線が冷たい。

敵対視されているのは知っていたのだけど、想像以上に酷い。そんなに彼が欲しかった?あげないけど。

「侑佑、留美子ちゃんと相変わらず仲がいいな。年が明けたら結婚式だし、今が一番楽しい時期だろう?」
「僕は留美子さんが傍にいてくれたら、いつでも幸せで楽しいよ。早く結婚したい。」
「そうは言っても、式の準備も醍醐味だろ?」
「まぁね。色々イベント考えているし、留美子さんのドレス姿も想像するだけで楽しみ。」

兄弟が、ウキウキと楽しそうに話している。

「留美子ちゃん、侑佑を頼むよ?侑佑は、留美子ちゃんに捨てられたら生きていけないって言っているから。」

社長・・・それ以上、圧を掛けないでください。

「まぁ、留美子ちゃん以外は私も認められないなぁ。横槍なんかするヤツがいたら、私の権限で排除するから安心してね?」

社長の権限って・・・これは、秘書の女性たちに牽制しているのかな?

「僕の全部は留美子さんのものだから。」
「相変わらずだなぁ、侑佑は。」

楽しそうな兄弟を他所に、秘書たちは何やら剣呑な雰囲気。社長は既婚者だから抜きにしても、折角現れた未婚でイケメンで役員が一介の社員に夢中とくれば致し方ないのかもしれない。

「良かったですね、侑佑くんの婚約者が南野さんみたいな女性で。それだけに、結婚と同時に退職されるのは勿体ないと思いますね。」
「圭太もそう思うか?でも、侑佑がどうしてもって言うから、留美子ちゃんが折れたって。」

相良も会話に加わって来た。

「えぇ、聞いております。」

そう、話し合った結果・・・泣き落としされたんだ。その事を話したら、澄子先輩も同じく退職する事になったんだよね。

澄子先輩は、お目出たでそれを合わせて退職することになったのだけど。お互いに近所で住んでいるから、退職しても会える事になって私としても嬉しい。

「兄さん、留美子さんと同室にしてくれてありがとうね。」
「二人ももう夫婦みたいなものだからな。」

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