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好意は好意のままでは終わらない

第7章 彼の元カノ


そりゃあ、いるよね。私にだっていたんだから。でも、まさか彼の元カノが私が働く職場に派遣として入社してくるなんて思ってもみなかった。

見た目は美人。元カノが配属された営業部では、ちょっとした騒動となったのだけど。どうやら、元カノはハイスペックの見目がいい高嶺の花を望んでいるらしい。

それでも、人当たりはいいので人気は直ぐに出たのだけど。

「お待たせ、留美子さん。」
「お疲れ様・・・。」

彼の隣りには、元カノがいた。距離が近いのは、元カノが故?

「昔馴染みだから、会社の案内をしていたんだよ。」
「そ、そう。」
「じゃあ、帰ろうか。」
「あ、ちょっと待って。ここら辺の事、よく知らないから町案内もして貰いたいんだけど。」
「嫌だよ、面倒くさい。」
「えっ?ど、どうして・・・。」
「僕には婚約者がいるし、式の準備もあって忙しいんだって言ったよね。僕は僕の手で、最高に綺麗な花嫁にしたいんだから時間を他にこれ以上費やしたくない。」

あ、元カノが私を見て鼻で笑った?この程度って言いたいの?

「相変わらず、高慢ちきな性格してんだな。だから、誰からも相手されなくなったんだろ?」
「そう思うなら、侑佑が相手してくれればいいじゃない。」
「僕のこと、金づるくらいにしか思ってないだろ?僕のものは留美子さんのものだから、それ以外に使いたくない。」
「えっ、侑佑ってこんな地味女に束縛されてんの?」
「僕にとっては、誰よりも可愛くて素敵な唯一無二の女性だよ。それに、束縛しているのは僕の方。僕の留美子さんにちょっかい掛けるヤツがいたら、物理的にも抹殺出来ると思う。」
「えぇっ、侑佑って趣味変わったんだね。こんな冴えない女を選ぶなんて。」
「いい加減、黙れよ。俺と付き合ったのたった二週間だろ。他の男に直ぐ尻尾振った尻軽が、偉そうに僕の所有権を得ようとするな。それとも何?僕は既に留美子さんに色々手を掛けているんだけど、それを邪魔するってことは・・・その補填をするってこと?お前なんかに払えんの?」

今までの彼とは、違って見えたのだろう。下に見ていた私を、まさか彼の方がハマっているなんて思ってもみなかったのかもしれない。

「それに、会社では高倉さんだろ?一応、これでも僕はお前より偉い立場なんだけど。」
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