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好意は好意のままでは終わらない

第3章 社長と彼


そうか、社長に直談判とは。

「でも、メールのやりとりを書面にしたものを見せたら、真っ赤になってたって。ウチの旦那にも切れ者の秘書がいるのだけど、本人の目前でその内容を読み上げたって言ってた。真顔で夜の営みの話題を読み上げる秘書って・・・。」

思わず身震いする。

「それで、その後は?」
「大人しくなって、転勤することになったみたい。まだ、そこだけは大人だったのかもしれないわね。エリート志向のメンタルが保てられればいいのだけどって言ってた。」

仕事が始まり、我を忘れる様に我武者羅に没頭した。

騒がしかった一日を終えると、待ち合わせの場所に彼がいた。私に気付くと、駆け寄って来た。

「留美子さん、お疲れ様。今日は大変だったね。帰ったら僕が癒してあげるからね?」
「侑佑くんもお疲れ様。あのね・・・お願いがあるんだけど聞いてくれる?」
「留美子さんのお願いなら、何だって聞くに決まってるじゃない。・・・その表情からして、帰ってからにしようか。」

一度目のメールに気付いてから、何度も届いたメール。そのどれもに一度たりとも開封していない。だって、面倒事なのは分かっていたから。

地下の駐車場から車を走らせ、家まで快適に進んでいく。

「社長秘書って、侑佑くんの従兄弟なんだよね?」
「うん、そうだよ。」
「仲いいの?」
「うん。昔から、圭太さんには可愛がって貰った記憶しかないよ。あ、今日のこと聞いたけど怖いって思った?あの人、容赦ないからなぁ。でも、留美子さんには意地悪しないから大丈夫だよ。」
「そうなの?」
「仮に僕に嫌われたら、僕を大好きな長兄に嫌われるだろうから。僕は留美子さんに意地悪する人は、例え縁者でも容赦しない。だから、大丈夫だよ。」

何か、色々と怖い気がしないでもないけど、彼がそういうのならそうなのだろう。

「僕の大事な留美子さんに意地悪する奴は、等しく地獄に落ちればいいんだ。留美子さんが健やかにいられるなら、僕は何だってやる。言ったでしょ?僕の執着はそういうものなんだよ。」

そんな綺麗な笑顔で言う言葉じゃないと思うけど、大事に思ってくれているのは分かっているから不問にする。

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