第2章 高校生
「もうすぐだよ」
『はい!』
体育館から聞こえてくる声。
『……!』
「 くるみちゃん?」
『みんなの声!』
嬉しそうに笑う。
「ふふ」
「じゃあ、行こっか」
『はい!』
及川さんが体育館の扉を開ける。
ガラッ。
「失礼しまーす」
『お邪魔します…!』
体育館にいた烏野メンバーが一斉に振り返った。
「……え?」
日向が目を丸くする。
「くるみ!?」
『日向くん!』
「病院終わったの!?」
『うん!大丈夫だったよ!』
「よかったー!」
日向が駆け寄ってくる。
そして。
ふと。
視線が下へ。
『……?』
日向が。
私の手を見る。
その先にいるのは。
及川さん。
「…………」
「…………」
「…………え?」
日向の声が体育館に響く。
「なんで手繋いでんの!?」
『えっ』
自分の手を見る。
『……あ』
そういえば。
まだ繋いだままだった。
『ご、ごめんなさい!』
慌てて離そうとする。
けれど。
「危ないから、そのままでいいよ」
及川さんが握り直して笑う。
『えと…』
「足、痛いんでしょ?」
『でも、あのもう、着いたので…!』
恥ずかしさもあり、どうしたらいいか分からずオドオドしてしまう。
その瞬間。
「……くるみ。」
聞き慣れた声。
『……!』
振り返る。
「孝ちゃん!」
孝支がこちらへ歩いてくる。
「病院、大丈夫だった?」
『うん!大丈夫だったよ!』
「そっか」
安心したように笑う。
そして。
菅原くんの視線が。
ゆっくり。
繋がった手へ。
「…………」
一瞬。
ほんの一瞬だけ。
笑顔が消えた。
けれど。
すぐにいつもの顔に戻る。
「……及川」
「ん?」
「送ってきてくれたんだ?」