第2章 高校生
そのとき。
「――はいはい」
少し離れたところから、聞き慣れた声がした。
「お前ら、一回落ち着け」
『……!』
孝ちゃん!
着替えを終えた菅原くんが、タオルを首にかけたままこっちへ歩いてくる。
「くるみ、困ってんべ」
「え?」
田中先輩たちが一斉に黙る。
「だって……」
「だってじゃないのー」
菅原が苦笑する。
「マネージャーやるかどうかは、くるみが決めることだから」
『孝ちゃん……』
「やりたいならやればいいし、まだ分かんないなら考えればいい」
そう言って、私を見る。
「な?」
『……うん!』
その言葉に、胸が少し軽くなる。
「でも!」
日向くんが手を挙げる。
「俺はやってほしい!」
『ふふっ』
「俺も!」
「俺もだ!」
「俺もお願いします!」
またみんなが口々に言い始める。
「だからお前ら!」
菅原が笑いながら止める。
「プレッシャーかけんなって!」
『ふふふっ』
思わず笑ってしまう。
なんだか。
みんな、本当に優しい。
「……じゃあ」
声を出す。
みんなが一斉にこっちを見る。
『明日も、良かったら参加していいかな、?』
「もちろん!」
日向くんが答える。
「待ってる!」
「やったー!」
「お願いします!」
『ありがとう』
笑って頭を下げる。
すると、隣から孝支の声。
「じゃ、今日はもう帰るぞ」
『皆さんありがとうございました!また明日…!あ!』
そういえば。
『鍵!』
「そう」
菅原がポケットから鍵を取り出す。
「これ、朝渡すの忘れてたやつ」
『忘れてたー!』
受け取ろうとすると。
孝支が手を引っ込めた。
『……?』
「俺も帰るから、一緒に帰ろ」
『…!うん!』
嬉しくなって笑う。
『じゃあ、お疲れ様でした!』
「お疲れ!」
「また明日!」
「ばいばーい!」
みんなに手を振って、体育館を出る。