第2章 高校生
「……早く持ってけば」
『あ、うん!』
得点板を持ち上げようとする。
「……それ、重いだろ」
『え?』
「持つ」
『でも――』
「いいから」
影山くんがひょいっと得点板を持ち上げてしまう。
『えっ、ちょっと待って!』
「何」
『私が持ってくるんだったのに!』
「……俺が持った方が早い」
『そうだけど……』
私役立たずになっちゃう…!
『じゃあ、半分持つ!』
「いらねえ」
『でも…』
しょんぼりしたのを察したのか影山くんがぼそっと言った。
「……じゃあ、これ」
影山くんが得点板の端を少しだけ私の方に向ける。
「持って」
『…!うん!』
二人で得点板を運ぶ。
体育館に戻ると。
「お、影山!」
日向くんが声を上げた。
「何してんの?」
「得点板」
「お前が持ってきたの!?」
「……そうだけど」
『私が取れなくて困ってたら助けてくれたの!』
「へー!」
日向くんがニカッと笑う。
「影山、優しいじゃん!」
「うるせえ!」
『ふふっ』
「……何笑ってんだ」
『だって影山くん、優しいんだなって思って』
「……」
また耳が赤くなる。
「優しくねえ」
『優しいよ?』
「……違う」
『じゃあありがとうって言わない方がいい?』
「……それは言え」
『ふふっ、じゃあありがとう!』
「……ウス」
影山くんはそれだけ言って、そそくさとコートへ戻っていった。