第1章 ベッド
平凡な何事もなく過ぎてゆく毎日が幸せだと感じていた。
「今日の夕飯はなに?」
「今日はハンバーグよ」
サチはそう和樹に話すと笑って見せた。
和樹は子供が好むような食事が好きだった。
ハンバーグはもちろん、パスタやオムライスなど和樹は大好きだったのだ。
そんな和樹のリクエストを聞いてサチは料理を作っていた。
キッチンのダイニングテーブルで夕飯を食べた二人だった。
食べ終わるとサチは片づけをした。
その間、和樹はバスルームに行ってバスタブにお湯を張り始めた。
リビングではテレビの音が流れている。
そのテレビの音とお湯を張る水の音が部屋の中に響いていた。
和樹はサチが洗い物をしている姿を見るとその後ろに立った。
そして、耳元でこう囁くのだ。
「一緒に入らないか?」
「え?一緒に?」
「うん、一緒にさ…」
サチはちょっと恥ずかしくなった。
結婚して3年も経つのにやはり恥ずかしいのだった。
「たまにはいいじゃん?」
尚も、和樹はそう言ってくる。
確かにここ数か月一緒にお風呂には入っていなかった。