第3章 手錠
サチの友人で同じく結婚して3年が経つ夫婦がいた。
その夫婦は、もう結婚生活は終わっている…とサチに話してきた。
結婚した途端に、相手が変わってしまったのだという。
それはサチが思うに、お互いが変わってしまったからなのではないかと思った。
結婚する前の方が関係は良かったとその友人は言うのだった。
サチはこの話しを聞いてこう思っていた。
それは多分、婚姻届けを出したその瞬間からお互い“悪い甘え”が出てきてしまうからだとサチは思ったのだ。
悪い甘えとは、相手のしてくれたことに感謝できず、それを当たり前の事のように受け取ることだとサチは思っていた。
どんな小さな事でも、お互い感謝し合う関係がなくては結婚生活は続かないとサチは思っていた。
当たり前のことってどんなことだろう。
そうサチは思っていた。
和樹が毎月働いて稼いできてくれたお金は決して当たり前のことではなかった。
サチは毎月給料日になると和樹に「ありがとう」と言っていた。
和樹もサチの作る料理や家事に対して当たり前だとは思っていなかった。
和樹もサチに常に感謝していたのだった。
お互い感謝し合える関係はとても大切だとサチは思っていた。
この良い関係をこれからも続けていきたいと思うサチだった。
そして、また夜が来た。
今日の和樹はちょっとソワソワしている。