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特撮短編集【仮面ライダー】

第7章 HAPPY END【富加宮 賢人/エスパーダ】


「ありがとう、芽依ちゃん」

 渡された手土産のエクレアに、少し沈んでいた気持ちが浮上する。

 目をキラキラとさせながら倫太郎がそわそわしているので、彼女はエクレアの箱を開き、「食べましょう」と声をかけた。

「あ、そうだ。神山さん。いつも本を貸していただいて……ありがとうございます」

「いいよ、気にしないで。本だって、たくさんの人に読んでもらった方が嬉しいだろうからね」

 にこやかに微笑む飛羽真に、彼女の肩の力が抜ける。

 賢人も含め、自分たちは『ソード・オブ・ロゴス』という会社の社員らしい。
 営業部の賢人と倫太郎、企画部の飛羽真、総務部の芽依、開発部の自分。

 けれど、幼い頃から知っている芽依のこと以外は、飛羽真のことも、倫太郎のことも覚えていない。

「そうだ、賢人はどちらへ?」

「電話がかかってきたので、席を外しています」

 倫太郎に答えると、彼は「そうでしたか」と言って、再び少年のようなキラキラした笑顔でエクレアを頬張る。

「ねぇ。賢人って、毎日 来てるわけ?」

「あ……うん、そうなの。だから、なんだか申し訳なくて。富加宮さんのことだから、きっと彼女さんもいるだろうし……もしかしたら、その彼女さんがイヤな思いをしてないかなって……」

 そう言うと、3人とも揃って、表情をこわばらせた。

「え……何か……変なこと言ったかな?」

 すると、芽依が肩を掴み、ギュッと眉を寄せ、悲しそうな……切なそうな表情をする。
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