第4章 Peace of mind【桜井 景和/タイクーン】
「ありがとう、景和。景和が味方でいてくれたら、わたし、頑張れる」
「頑張んないで、もっと俺を頼ってよ。頼りないかもしれないけど……」
手を伸ばすと、彼女も細くて小さな手を伸ばしてくれた。キュッと互いに指を絡め、手を握り合う。
「そんなことないよ。わたし、これでも景和のこと頼りにしてるから」
「ホントに?」
首を傾げて聞き返すと、彼女は「本当に」ともう一度 繰り返してくれた。
「景和はわたしの、心の拠り所だから」
「そっか」
それは、自分だって同じだ。
彼女が支えてくれるなら、なんだってできる。
そう、いつでも思ってる。
「ありがとう、話を聞いてくれて。さ、ご飯 食べましょ。遅刻しちゃう」
「そうだね」
互いに笑いながら、2人は朝食を済ませ、身支度を整えた。
「あ、あのさ。洗い物、帰ってきたら俺がやるから……今日は一緒に出ない?」
普段は、朝食を作るのは景和で、食器を片づけるのは彼女。彼女が食器を片づけている間に、景和はいつも出勤していた。
けれど、今日はこのまま、一緒に出勤したい。