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特撮短編集【仮面ライダー】

第2章 lovers【五十嵐 大二&カゲロウ/ライブ&エビル】


「え? えっと……?」

 珍しく不機嫌そうに眉根を寄せる大二にうまく言葉を見つけられずにいると、彼は顔を俯けた。

「……ごめん」

 唐突の謝罪に頭が混乱する。

 何か謝られるようなことをされただろうか?

 どう反応していいのかが分からず、大二の言葉の続きを待つことにする。

「ごめん……君がそんなに悩んでるなんて思ってなくて……」

「悩んでって……え⁉ カゲくんとの話 聞いてたの⁉」

「聞いてたっていうか……アイツとは感覚の共有はしてないけど、見たり聞いたりしてるものは互いに分かるから……」

「そ……なん、だ……」

 知らなかった。知っていたら、カゲロウに相談などしなかったのに。

「ご、ごめんなさい! わたし……!」

「いや、俺が悪いんだ。君には俺のいいところだけ見せたいって思ってカッコつけて……そのせいで、寂しい思いをさせてるなんて、思わなかった」

 そっと伸ばされた手のひらが、彼女の小さな手をぎこちなく包む。

「知られたくなかったんだ。本当の俺はどうしようもなく臆病で、幻滅されるのが怖くて、いつもカッコつけてる。君を誰にも取られたくない。ずっと独占していたくて……カゲロウにだって嫉妬してる」

 ギュッと痛いほどに握られた手が、彼の想いの強さを知らせてくれて、胸がトクトクと高鳴った。
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