第2章 lovers【五十嵐 大二&カゲロウ/ライブ&エビル】
「君がカゲロウを頼るのがイヤだ。カゲロウと同じくらい好きだって思われてるのも……俺のことが一番好きだって、本当はそう言って欲しかった」
「……うん」
頼りなく揺れる瞳に見下ろされて、小さく頷く。
初めて見せてくれた大二の生の感情が嬉しい。
「幻滅なんてしないよ。だって、今の全部、わたしのことが好きだってことでしょ?」
彼の言い分の全てを叶えることはできない。
カゲロウのことは好きだし、大二と比べることもできない。
優柔不断だと言われたらそれまでだが、それでも彼は受け入れてくれる。
「わたしも大くんのことが大好き。カッコいい大くんも、そうじゃない大くんも。だから、もっと教えてほしい」
――ずっと、一緒にいたいから。
そうつけ加えると、彼はくしゃっとした顔で笑った。
「敵わないな、君には」
いつも頼りがいのある彼が、甘えるようにして額を合わせてくる。
張り詰めていた糸を解くように、気を緩めるように。
「イヤになっても、逃がせないよ。カゲロウも絶対 許さないだろうし」
「それはこっちのセリフだよ」
少し挑発的に口角を上げて笑って見せると、先ほどまでの不安そうな空気はどこへ行ったのか。
穏やかさを取り戻した2人の間に、柔らかな昼の光が注いでいた。
《 F i n ... 》