第24章 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
ふと思い出し、スマホを取り出してSNSで近況報告をする。そして作曲については「新しいことに取り組み始めました!」とだけ投稿した。
少しずつフォロワーは増えてきた。こういった地道な活動を積み重ねていかなくては。
明日は久々のオフ。このまま夜更かししてできるところまでノートを作っていこう。
そして、起きたら高校生の吹奏楽コンクールを聴きにいく。いくつか教えている高校も出場する。
頑張れ。若者たち。わたしの高校時代最後の吹奏楽コンクールは一生忘れない出来事だった。今も最も大切にしている過去のひとつ。
中学校はそこまで盛んではない部だったが、代わりに個人レッスンを充実させることができた。高校は吹奏楽コンクール全国大会にも出場する強豪校だった。いい表現ではないが、吹奏楽コンクールの結果を勝ち負けで表現するのだったら、勝ち組の高校だ。
しかし私はこのときに初めての挫折をしたのだ。