第22章 鷹乃学習(たかすなわちわざをなす)
私はつい、徹の言葉に被せて言ってしまった。
「海外の人と同等に戦ってるのって、普通に考えて凄いことだから! それだけは自信と誇りを持って! 体格に恵まれている人たちと戦ってるんだよ? そんな人たちに攻撃を組み立ててトスを上げるってとんでもないことなんだからね!?」
私が尊敬し、目標で、ライバルである徹。何を弱気になる必要があるのか。もっともっと羽ばたいて夢を掴んで欲しかった。
「はは。元気出る。めっちゃ出る。ありがとう」
元気を出して。強くてかっこいい徹。ふと時間を見ると24時を回っていた。
「徹、改めて誕生日おめでとう」
「25歳も頑張るよ。ありがとう。ほんと、萌からは昔からいろんなものを貰ってばかりだ」
「何も大したことはできてないよ……。逆に、私、高3の誕生日のとき、何か貰ったっけ?」
「あの時はお菓子でいいよって言ったから……」
「牛乳パン」
二人同時に声を出す。大丈夫。離れていても大丈夫。これだけのことを共有できているのだからそう信じたい。
そして、思いっきり励ましてしまったけど、実は徹が弱さを少し見せてくれたことが嬉しかった。これから、もっとたくさん徹のことを知っていきたい。こんな当たり前のことに気がつくのが遅い私はやっぱり、自分のことで精一杯で頼りない。