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七十二候

第77章 及川編#2


「女の子は大切にされたいんだよ。頻繁に連絡取りたいし、毎日のように会いたいし……いや知らないけど」
「知らんのかい」
 萌からそんな意見が出たことに驚いた。まぁ、知らないと言っているあたり、誰かの受け売りだろう。岩ちゃんは面白がって、「萌は誰かと付き合ったらそうして欲しいの?」と追い打ちをかけた。
「……たぶん、基本的にはそうだと思う。それに、その人のことを知りたいし、その人のよき理解者でありたい、かな」
「ふーん。それってお互いのことをよく知るという点では俺たち幼馴染と変わんねぇべ。な、及川」
「なっ! そ、そうだよな。うん、変わんない……かな……」
 何で俺に振るんだ、岩ちゃん。意地悪すぎやしないか?
「そうなの? じゃー可愛いとか好きとか、たくさん言ってもらって自己肯定感爆上げされることも追加で!」
「ははっ。それはさすがに言ったことねぇな。な。クソ及川!」
 岩ちゃんが言わんとしていることは分かった。だけど、今のこのタイミングでは萌には俺の気持ちを気がつかれたくなかった。
「俺は失恋したんだ。萌。しばらく優しくして」
「あはは……牛乳パンあげるよ」

 ひとりの女の子を傷つけたことは大いに反省しなくてはならない。その分、萌に誠実に向き合わなくては。俺はそんなことを考えていた。
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