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七十二候

第73章 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)


 いつもふんわりした雰囲気で、落ち着いているようで意外と好奇心が強くて。頑固で。笑った顔が可愛すぎていろんな人を虜にしているくせに、驚くほど自分のことには鈍感なんだよね。でもそれは音楽に集中してのめり込むから。そして心優しくて、人の悪口は絶対に言わなくて、自分ばかりを責めがちで。責任感が強くて何でも一人で背負い込んで、人に頼るのが苦手で不器用で。時折危なっかしいし、どんなに努力しても自分の力を信じていない。それでも常に上を見て、ひたむきに頑張る尊敬すべきクラリネット奏者である萌が大好きです。

 萌がプロとして輝くのが眩しすぎて、上手くいかない自分と比べてしまい、自分を責めたくなったこともあった。だけど萌が僕とのことをたくさん考えてくれていたのは分かっていたし、いつも気にかけてくれていたのも分かっていた。
 僕と向き合おうとしてくれたのに、情けないことにずっと弱さを見せられなかったことも汲んでくれて、しばらく連絡を取らないという提案をしてくれたね。
 連絡を取れない日々は辛かった。たった2か月なのに何年にも感じたんだ。だから、答えを出そうと前を向く萌を信じて、僕も頑張った。僕も僕で、周りの人に助けられてきたし、いろんな挑戦を楽しそうにする萌を見て、バレーが楽しいということを、時折忘れてしまうそんな当たり前の事実を再び思い出しました。そしてこの経験で、やっぱり僕には萌が必要なんだなということを再認識しました。
 こんなに自分のことを優先して生きている僕のそばにずっといてくれてありがとう。
 
 今でもずっと一途に萌を想っているとチームメイトに言うと引かれたし、早くプロポーズしなよと言われました。だからじゃないけど、そろそろ一人で待つのは辞めたい。萌と二人なら俄然無敵です。

 次のふたりの夢は一緒に叶えたい。
 どうかこれからも、死ぬまで、ずっとそばにいてください。




Un abrazo,
Toru Oikawa
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