• テキストサイズ

七十二候

第73章 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)


Querida 萌:
¡Hola!

 地球の裏側から届いたまさかの贈り物。萌の初作品を1番最初に聴かせてくれて、ありがとう。クラリネット奏者が作曲をしたことに驚いたし、僕との日々から着想して、こうして曲にしてもらえるなんて、幸せだし誇りに思う。
 すごく嬉しくて、チームメイトに毎日自慢しています。

 七十二候、とても繊細で素敵なこの曲を聴いてから、僕も萌と過ごしたたくさんの日々を思い出しました。アルゼンチンでは日本とは真逆の季節を過ごしているけど、あの時のとても幸せな日々も苦しい日々も、時期も季節もやっぱり当たり前に思い出せるんだよね。それくらい、萌を大切に想っています。

 七十二候を聴いて、萌にまだ言っていないことを僕も書きたくなりました。
 萌に恋心を抱いたのは、小学5年生の6月。萌のピアノの発表会を聴きに行ったとき。
 紫陽花みたいな薄い青色のふわふわなドレスを着て、髪の毛を編み込みにして、いつもよりもおしゃれをした萌を見て、初めて萌を女の子として意識しました。お姫様みたいにすごく可愛くて、ドキドキして、萌を好きなんだと自覚した日でした。
 あの後、僕と萌は家族で食事をしたんだけど、そのときにはいつもの服に戻ってしまっていたから残念だったのを覚えています。ちなみに、岩ちゃんはこのことを知ってます。笑
 それから、萌の好きなところを少しずつたくさん見つけていきました。
 萌の右手の親指は、クラリネットを右手の親指だけで支えているから、左手の親指よりも太く変形してて、皮膚も硬くなっているところがあるのも知っています。そんなクラリネットを長年吹き続けた勲章も愛おしく思っています。
/ 234ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp