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七十二候

第63章 黄鶯睍睆(うぐいすなく)


「ありがとう、それが分からない以上は完成するわけないよね。とくに最後の楽章」
「萌ちゃん。愛する人以上に大切なものはないよ。私はそう思ってアメリカに渡ったんだよ」
「そうだね……。私はただ怖いだけなのかも」
 徹のことは好きなのに、なぜクラリネットを1番に思っていると思い込んでいたのか。徹が2番目なわけがない。どっちも1番大切なんだ。AKIもきっとそうなのだ。
 それは徹もきっと同じで、だから今まで別れずに私の答えをずっと待っていたんだろう。アルゼンチンに行っても必要なときに助けてくれたんだろう。私を捨ててどんどん先に行くこともきっとできたのに。
 私は決意を固めるためにも、お世話になっている人に相談をしに行くことにした。私の決意にたくさんの後押しをしてもらいたかった。
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