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七十二候

第42章 霎時施(こさめときどきふる)


 その日は応援してくれたひとりひとりにお礼をいって回りたかったが、テレビ局からのインタビューや祝賀会で大忙しだった。
「両親をはじめ、私の仲間たち、先生など周りの助けなくして得られなかった結果だと思います。これからも精進してみなさんに喜んでもらえる音楽を届けられるようなクラリネット奏者になりたいです」
 私は、素直な気持ちをインタビューで話した。

 徹や岩ちゃんからも、時差を心配してしまうようなタイミングでメッセージを貰った。私を夜中にも応援してくれていたことに胸があたたかくなる。
「ありがとう! たくさん助けてもらったから、ここまでやってこれたんだと思う。また、改めてお礼を言わせてね」

 祝賀会では様々な部門の入賞者と話す機会をいただき、名刺の交換をした。これも良い縁として、今後の音楽活動にいい影響があるといいな。
 また、審査員の先生からも嬉しいコメントをもらった。
「雨宮さんの演奏は様式をしっかりと捉えながらも、表情に色が見えた。音でメッセージを伝えることのできる素晴らしい奏者ですね」と。
 私の目指しているものが少しは伝えられるようになったのかもしれない。今までやってきたことが認められた気がして目頭が熱くなった。

 その後はしばらくお祝い三昧だった。たくさんのメッセージをもらい、吹奏楽団もレモン・カルテットもこの結果をSNSに投稿すると、ものすごい勢いで私の個人SNSや動画サイトのフォロワーが増えていった。日本からフォローをしてもらうことが多かったが、少なからず、海外からのフォローもあった。
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