第6章 旅立ちの時
ミーウはメアリーを見た。
「“おひさま”をお願いします」
メアリーは微笑んだ。
「懐かしいわね……。昔、よく歌ったわ」
“おひさま”はミーウが小さい頃、メアリーがよく子守唄代わりに歌ってくれた歌だった。ーーミーウが生まれたことが嬉しくて、メアリーは彼女にその気持ちを伝えるために歌っていた。
「わかったわ」
メアリーは笑って、歌い始めた。
「♪〜ひかりがさし〜♪」
メアリーが紡ぎ出す歌声に城の人々は耳を傾けた。
「♪〜あなたは私の奇跡 あなたは私の希望〜♪」
曲名の通り、暖かいお日様のような歌声に聞いている人々、みんなが心が温まる気持ちになった。
歌い終えて、メアリーは笑った。
「次はミーウよ。何を歌ってくれるの?」
ーーミーウたちの一族の進水式の歌の儀式は、まず、見送る側が見送られる側の歌って欲しい歌を歌い、その後、見送られる側が自分が歌いたい曲を歌うことになっている。ーーキッドたちの進水式では、キッドのせいでミーウがパニックになってしまったため、キッドは歌わないで島を出て行ってしまったのだ。
ミーウは見送ってくれる人たちに笑顔を向けた。
「“生きてこそ”を歌います。お世話になったみんなに感謝の気持ちを込めて」
そこにいる人々はわーと拍手をした。ーーミーウの歌はみんな聞いたことがあり、上手なことを知っていたため、何を歌ってくれるのか楽しみだったのだ。
ミーウはそう言って、口を開いた。
「♪〜ママ私が生まれた日の 空はどんな色〜♪」
ーーこの曲はミーウが生まれて初めて覚えた曲だった。
「♪〜生きてこそ 生きてこそ 無限に羽ばたいていく夢〜♪」