第56章 天竜人と8人目の新たな仲間
『探し求めておられる方も多いはず。ご覧ください、このシルエット!』
ディスコが言うと、布で覆われている物にスポットライトが当てられる。
会場内にどよめきが起こる。
「やったぞ! 超目玉!」
1人の貴族が叫び声を上げる。
『多くは語りません。その目で見ていただきましょう。お待たせ致しました。それでは、お披露目です。とくとご覧あれ!』
スタッフによって掛けられていた布が取られる。大きな水槽が現れ、中には人魚が入っている。
人魚の姿を見ると、会場内は歓声で包まれる。
『魚人島からやって来た人魚のケイミー!』
「本物だ! 若い人魚だ!」
「すごいぞ!」
「掘り出し物だ!」
人々は口々に叫ぶ。
「ケイミー!」
変わった顔をした男がケイミーに向かって名前を叫ぶ。
「ケイミーが出て来たぞ」
「よ〜し、奪い返すわよ! うちは2億あるんだからね」
「ケイミー!」
木槌を叩く音が会場内に響き渡る。
『久し振りの人魚の登場とあって、皆さん興味津々とお見受け致しました。さあ、いくらから参りましょうか?』
会場内は静まり返り、それぞれが他の人の出方を伺っている。ーー希少である人魚を欲しくない人などいなかった。