第6章 旅立ちの時
メアリーは少しだけ意地悪そうに笑った。
「これはわたしから、あなたに与えるちょっとした試練よ。自分の父も見つけられないのに〈ひとつなぎの大秘宝〉なんて見つけられないでしょう?」
「……」
(確かにその通りだ……)
ー自分と血が繋がっている、というだけで人間は直感でその人が血縁関係なのだとわかると言う。
ミーウはメアリーの言葉に反論ができなかった。
「大丈夫よ」
メアリーは優しく微笑んで、ミーウの頭を撫でた。
「絶対に見つかるから」
ーあの人の気配は“気”だけでわかるから。それに……。
「あなたには覇気があるじゃない。この人かもって思ったら聞いてみたり、自分で調べてみたりしたらどう?」
メアリーはミーウに優しく言った。
「……わかりました。やってみます」
ミーウは真っ直ぐにメアリーを見つめた。
「それと、大ヒントね」
メアリーは少女のように微笑んだ。
「あなたの父は……とても強いわ」
メアリーは海を見つめた。
「この世界中の海賊の中で……とても強いの。戦いにおいても……もちろん強いけど、ここも強い人よ」
そう言って、メアリーは自分の胸に手を当てた。
「……心……ですか?」
「ええ、その通りよ」
メアリーはにっこりと笑った。