第6章 旅立ちの時
その日の夜、ミーウは広い廊下を1人で歩いていた。
(お母様と話すの……久しぶりだな)
メアリーは常に忙しいため、ミーウと顔を合わせることが1日に1回あったらいい方なのだ。ーー今回は1週間前に会ったきりだった。
ミーウはメアリーの部屋の前に来ると立ち止まり、ドアをノックした。ーー自分が海賊になることをちゃんと伝えるために。
「お母様、ミーウです」
「入って」
ミーウはドアを開けて、部屋に入った。
「失礼します」
広い部屋の中にある広い窓のすぐ近くに、メアリーは立っていた。ミーウは窓際に歩み寄る。
「お母様、船をありがとうございます」
メアリーはミーウを見て、にこりと優しく笑って頷いた。
「えーと……」
(言わなきゃ……)
ミーウは息を吐いて、胸を押さえた。
「お母様……ご存知だと思いますが、わたしは……」
ミーウはメアリーを見た。
「わたしは海賊になりたいんです。……この島で出会った友達との約束を果たすために」
「ええ、知っているわ。全部」
メアリーは月の光に照らされながら微笑んだ。
「あなたの友達のことも海賊になりたい理由も」
「……いいんですか?」
メアリーは笑った。