第6章 旅立ちの時
「……逃がしたの?」
ミーウは疑うような視線をクザンに向けた。
「ミーウとアユナの友達だろ?」
「そうだけど……海賊なのよ?」
「今回はお前たちのために逃がしただけだ」
クザンはきっぱりと言い切った。
「それに、次に見かけた時はちゃんと捕まえるよ」
「そういう問題じゃなくて……!」
ミーウはそれ以上、言葉が続かなかった。
アユナは声すら出なかった。
クザンは優しく笑った。
「心配するな」
「でも……」
ー自分たちのせいでクザンが大将の位から降ろされるかもしれないと思うと、2人は背筋が凍る思いがした。それに加え、自分たちまで海賊になってしまったとなれば、クザンはますますその地位が危うくなってしまう。
そんなことを思っている2人にクザンは微笑んだ。
「お前たちに心配されなくても大丈夫だ」
ミーウはクザンを見つめた。
クザンも優しく笑いながら、ミーウを見返した。
アユナとミシュラは端からそのやりとりを見ている。
「お前たちはお前たちのやりたいことをやれば、それでいいんだ。後は大人に任せておけ」
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