第6章 旅立ちの時
「知らなかった……」
ーずっと気付かれていないと思っていた。
「海軍大将のおれが、お前らみたいな小娘共に気付かれてるようじゃ、海軍は終わったも同然だ」
ややドヤ顔気味でクザンは言った。
「それに、覚えておいた方がいいぞ。大人はお前たちが思っている以上に……えーと……」
クザンは人差し指を頭に向けて眉を寄せた。
「えーと、何て言うんだ。その……」
クザンは床を見つめて、難しい顔をしている。
ミーウとアユナは頭にハテナマークを浮かべて、クザンの次の言葉を待った。
ミシュラはその様子を見て、目を半眼にして呆れたように言った。
「子どものことをよく見てる、だろう?」
「うん? ああ、そうそう」
クザンはミシュラを見て頷いた。
「あ、そういうことか」
「なるほど」
ミーウとアユナも納得して頷いている。
「お前ら……」
(しっかりしてくれ……)
ミシュラはため息を堪えた。ーーミーウはまだ子どもでしっかりしていないからまだいいが、アユナまでわからないとは……。それと、クザンは最早論外だ。
「あ……」
ミーウは何かを思い出したようにまた固まった。
(それじゃあ……)
「……クザン……」
ミーウは深刻そうな声音でクザンを呼んだ。
「ん? 何だ?」
クザンはミーウを見た。
「……キッドとキラーは?」
その言葉を聞いた瞬間、アユナは凍りついた。
(そうだ……)
ーキッドとキラーが海賊になることはクザンにバレている。もしかしたら……。
そんな2人の様子を見て、クザンは笑いながら軽く言った。
「ああ、あの2人はちゃんと海に出たよ」
ミーウはクザンを見た。