第6章 旅立ちの時
「そう……」
ミーウは眉を寄せた。
「もし入るなら、おれがミーウのそばにいることになるが」
クザンはミーウの様子を伺いながら言った。
「うん……」
ミーウは曖昧に返事をした。
クザンはまた苦笑した。
(そりゃそうだよな)
ーー海軍が嫌いなミーウが自分から海軍に入りたいなんて言い出すわけがないのだ。それはクザンをはじめとして、ミーウのことを知っている者なら誰もが思っていたことだ。
2人が話している間に、目的の部屋の前に着いた。
クザンは大きな扉を開けて中に入った。ミーウたちも後をついて行く。
クザンは中に入ると、部屋の電気を付けた。
「これ……」
ミーウは中にある物を見て、目を見開いた。
「おばあ様の船……」
そこにあったのは昨日の夜、メアリーがクザンにミーウにあげるように頼んだミーウの祖母シェルミーが旅行の時に愛用していた船だった。ーーシェルミーは色々な島を巡るのが趣味で、船に乗ってどこかの島に行くことが度々あった。ミーウも何度か、シェルミーについて一緒に行ったことがあるので、一目で目の前の船がシェルミーの物だとわかった。
「メアリーからお前にあげろと言われた」
クザンは船を見ながら言った。
ミーウはその言葉に驚いて、隣に立っているクザンを見上げた。
「お前たち、海賊になりたいんだろ?」
それを聞いた瞬間、ミーウたちは固まった。
「何で……」
「お前らが城を抜け出す度に、後をつけていたんだ」
ミーウが聞くよりも先にクザンが言った。
「嘘……」
ミーウはアユナを振り返った。アユナは首を横に振った。