第6章 旅立ちの時
ミーウたちは部屋から出て、クザンについて行った。
「ミーウ」
クザンは歩きながら、ミーウに話しかけた。
「お前ももう、17歳になるんだったな」
「ええ、そうだけど……」
ミーウは怪訝そうな顔をした。
(……クザンがこういう話をする時って大抵……)
ミーウは無意識に身構えた。
「それじゃあ、もうすぐ海軍に入ることになるな」
「……」
(……来た……)
ーまたこの話だ。ーーミーウは16歳の誕生日を迎えて半年経った頃から、この類の話をよく聞かされていた。
ミーウたちの一族は海軍に入って、経験を重ねて強くなる。彼女たちは世界を治めるため、海軍大将並みに強くなくてはいけなかった。実際、ミーウの祖母であるシェルミーは海軍大将、母親であるメアリーは海軍中将の地位にまで上り詰めた。ーーそれは海賊たちが力を持っている〈大海賊時代〉であるのに、その1番上に君臨する者が弱くては世界の均衡が保たれないと考えられているからだ。だが、彼女たちは怪我をしたらいろいろと問題のある身分のため、いつも大将のそばで海軍の活動をすることになっている。ーーちなみに、ミーウの身分を知っているのは、海軍元帥のセンゴク、海軍大将3人、海軍中将のガープとおつるの6人だけだ。
「……どうしても……入らなくちゃいけないの?」
クザンはミーウの前を歩きながら苦笑した。
「まあ、強くなる方法が他にあれば、別にいいんじゃないの?」
ーーミーウは海軍が嫌いだ。クザンはその理由を知っている。だから、無理に入らなくてもいいと彼自身は思っている。ーー実の娘のように彼女を育ててきたので、クザンはミーウに少しあまいのだ。本人に自覚はないが……。