第6章 旅立ちの時
「ミーウもアユナも怪我をしてはいけない身分だろう! それなのに……一体、何を考えているんだ!」
「別に怪我をしなければいいんでしょ?」
ミシュラはその言葉に狼狽えた。ーーミーウはとても強い。海軍大将であるクザンに武術を教えてもらったので、海軍の位で言えば大佐以上の実力があると言っても過言ではない。しかも、ミーウは3種類の覇気、“見聞色”の覇気、“武装色”の覇気、そして、使える者が稀な“覇王色”の覇気が全て自由に使いこなせる。それに、悪魔の実の能力者でもあった。
「……」
ミシュラは黙り込んでしまった。ミーウの強さはミシュラが1番よく知っている。ずっと一緒に修行をしてたから、ミーウがどのくらい成長したのかということもよく理解していた。
「そんなに心配なら、ミシュラも一緒に行く?」
ミーウはしゃがんで、ミシュラに目線を合わせて言った。
ミシュラはミーウを見つめて、7年前のことを思い出していた。
ーー止まることがない、広がるばかりの荒れ狂う炎を3つの影が見つめている。
ーミシュラ……。ミ……シュラ……。
ミーウはあれから、ずっと泣き続けている。
ーミシュラ……。
ーミーウ、大丈夫だ。おれはお前とずっと一緒にいる。これから先も、ずっとだ。
ー……本……当……?
ミーウは涙を拭くのをやめて、ミシュラを見た。
ーああ、本当だ。約束する。
ーー目の前にいる少女をもう二度と、悲しませないために……。そして……。
「……わかった」
ミシュラは静かに言った。ーーミーウの他にもう1匹にもその想いが伝わるように。
「おれも行く」
ー最期の約束……!
ー大好きな人との最期の約束を守るために……。
ミーウは笑って頷いた。
アユナも頷いてから、ふと思い出したようにミーウに声をかけた。
「それで、ミーウ」
ミーウはアユナを振り返った。
「船は……どうするの?」
「あ……」
ミーウとミシュラは目を合わせた。
「まさか……海軍から盗もうとしていたの?」