第6章 旅立ちの時
「メアリーにも言わないのか? あいつ、寝込むぞ」
「……」
ミシュラの言ってることは全て正しいので、ミーウは何も言い返すことができない。ーーミーウの母親であるメアリーは病弱なため、精神的に負担がかかってしまうと、寝込んでしまうことが度々あるのだ。
「どうするつもりだ?」
ミシュラはミーウを見つめた。
「うーん……」
ミーウは1回手を止めて考えた。ーークザンやメアリーに知られたら、海には絶対に出られないだろう。しかし、海兵の誰かに助けを求めるわけにもいかない。では……。
「どうしようね」
ミーウは困った顔をして笑った。全く危機感を感じてないかのように。
「……」
今度はミシュラが何も言い返せなくなってしまった。
(……ったく、こいつは……)
ミシュラはため息をついた。
ー計画性がないというか、何というか……。
「もう少ししっかりしてくれ」
ミーウは頷いた。
「うん、頑張ってみるよ」
「……」
ミシュラはまたため息をつきそうになったが、堪えてそれを呑み込んだ。
(昔から返事だけはいいが……)
ー実行に移してくれない。
ミシュラはため息をしないようにしていたが、あまりにもミーウが能天気過ぎることについ、ため息をついてしまった。