第56章 天竜人と8人目の新たな仲間
「……わたしを信じて」
ミーウは首輪から男の瞳へと目線を移し、彼に訴えかけるように言う。
「……」
男はただ、黙って素直に頷いた。
爆発までのタイムリミットを知らせる音が徐々に大きくなる。
ミーウの額を汗が流れる。
(失敗したら……)
ー全てが一貫の終わり。それだけは避けなくては……。
「……」
ーー首輪は爆発する寸前に鍵が解除される。その一瞬の隙を狙って、首輪を男から外して放り投げ、爆発が会場内の人間を巻き込まないように氷の箱を顕現させてブロックする。
ミーウは頭の中で考えた作戦を何度も何度も繰り返し思い浮かべる。そして、いつ、その時が来てもいいように首輪に全ての意識を集中させる。
「……」
ミーウは目を大きく見開き、覇気を使って外れた首輪を持ち、自分の横へ放り投げた。そして、指で四角を描いて能力を発動させる。
バッコーン!!
「……」
肩で軽く息をしながら、ミーウは目の前で床に座り込んでいる男を見た。
「……もう、大丈夫よ」
ミーウは微笑んで男に言った。ーー作戦は成功した。誰も犠牲にならずに済んだ。
男は自分の首を触る。いつも自分の命の行方を左右していた忌々しい首輪がない。
「……ありがとう……ございます……」
男は涙を流して、ミーウにお礼を言った。