第56章 天竜人と8人目の新たな仲間
「……」
「キャプテン、あれ……」
逃げようともせず、ただ椅子に座って後ろを向いているローに白熊が話しかけた。
「……ベポ、落ち着け」
ミーウのいる方向から目を離さずに、自分の船員へと言葉をかける。
「あれ……」
「何だ……」
以前、ミーウと共に戦ったことのある麦わらの一味も見たことのない技に目を丸くさせる。
「……」
「……キッド」
同じく、目の前の少女がやったことを呆然と眺めていたキッドにキラーが声を掛ける。
「……あいつ……」
(やっぱり“覇王色”の覇気が使えたのか)
ーー南の海の最後の島で再会した時に見た彼女の不思議な攻撃。旅をして行くうちに、覇気というものがあることを知った。そして、ミーウが使っていたものも覇気だったのではないかと疑問に思っていた。
「……」
キッドは下唇を噛み締めた。
(いつからだ。いつから使えていた?)
ーもう既に、これ程までに使いこなしているところを見ると、ここ最近“覇王色”の覇気が覚醒したわけではなさそうだ。ずっと前から……しかも、誰かに教えてもらいながら使えるようになったに違いない。
「……」
(おれは……お前のことを何も知らなかったんだな)
キッドは奴隷の首輪をじっと見つめている少女を寂しそうに見ていた。
「……」
ミーウは外野が静かになり、ただ目の前の男が付けている首輪を見つめている。