第55章 人間オークション
「手長族や足長族などの特殊な人種になってくると、最低で70万ベリー以上。魚人族は100万ベリー以上。巨人族の男は5000万ベリー以上。人魚族の女は7000万ベリー以上よ。巨人族と人魚族は男女でも値段が変わって来るわ」
「……最低で50万ベリー……人間が……」
ーー逆に言ってしまえば、50万ベリーあれば人間を買うことができるということだ。物として扱える。同じ命として生まれて来た人を……。
「そんなの……許していいんですか?」
ユイは膝の上で拳を強く握り締めた。
「許せないわ。そして、許されていいはずがないわ」
ミシュラは椅子から通路に降りて、ミーウは背もたれから椅子へと滑り降りた。そして、ユイの拳の上に自分の手をそっと乗せた。
「今の気持ちを……決して忘れちゃダメ。ここにいる奴らは……異常なの」
「……」
ユイは黙って、ミーウの紅い瞳と視線を合わせる。他の船員たちもミーウを見つめる。ーー全員、わかっているのだ。自分たちの船長が理由もなしに、このような嫌な気分になる所に仲間を連れて来るはずがないということを。
「ここに来たのは……世界で起きていることをみんなに実際に見て欲しかったの」
ミーウは今もまだ、オークションが続いている舞台を見た。