第55章 人間オークション
「世界は綺麗なことだけで、できているわけじゃない。汚いことも……たくさん……たくさんあるの……」
ミーウを見ていた船員たちはミーウと同じく、オークション会場の舞台を見た。
「これから、わたしたちが立ち向かう敵は……人間を下に見ることを当たり前だと思っている人たちだということを……みんなに見て欲しかったの」
ーこれは、ただのエゴだ。自分が倒したい相手を仲間に何も言わずに、勝手に共有しようとしている。身勝手なワガママだ。
「……船長」
オークションで盛り上がる中、スレイジがミーウと仲間に聞こえる声でミーウの名前を呼んだ。
「お前が倒したい奴らはおれたちも倒したい奴らだ。一緒だ。お前が倒したいって言うなら、おれたちは全力で協力する。仲間だろ?」
ミーウは舞台からスレイジへと目線を移した。
スレイジはにこりと微笑む。その隣にいるユイも。反対側を見れば、ケイトとショウラも頷いた。ーー全員、思っていることはスレイジと同じだった。
「ミーウ」
アユナは隣でミーウの背中を撫でた。
「そんなに自分を責めないで」
ーあなたの夢はわたしたちの夢なんだから。
「絶対……一緒に倒しましょ」
ー誰も辛い思いをしない、あなたが望む……みんなが幸せな世界を作るために……。