第55章 人間オークション
「開催者側が用意した偽物の客だ。このオークションでサクラを用意する目的は……オークションを盛り上げるのと、サクラが値段を最大限まで引き上げて客を焦らせ、予定よりも多くの金を搾り取るためだろう」
「……」
「とことん最低ね」
アユナの横で会話を聞いていたミーウが呟いた。
「来た客が客なら、主催者も主催者ってことね」
「……そうね」
アユナは終始軽蔑した目で舞台を見ているミーウの横顔を見た。
『さあ、これから続々とお買い得、お値打ち商品が出てまいりますよー! 皆さん、是非ともお見逃しなきように! さて、次に参りましょう!』
その間にも、オークションは進行して行く。会場内には拍手が湧き上がっていた。
「……ミーウさん、少しお聞きしてもいいですか?」
他の貴族が奴隷の競りをしている時に、ユイがミーウに聞いた。
「人間の相場って……いくらなんですか? 値段なんて、付けられるんですか?」
「……」
ーーつまり、ユイの疑問は人間の命はお金で買えるのかということだ。自分も同じ人間なのに、ペットと同じ扱いをしていることが不思議で仕方がないのだ。
「……最低金額で、人間の男女が50万ベリー以上」
ミーウは小さな声でポツリポツリと説明を始めた。