第55章 人間オークション
『82番の方、50万ベリー出ました!』
「52万!」
今度は105番の札を持った貴族が札を上げる。
『はい、そちら105番の方、52万ベリー!』
「ええ……」
7番の札を持った貴族が狼狽えている。
『52万ベリーでよろしいでしょうか? 楽器万能、家事手伝いもこなせて海賊だけに番犬代わりにもなるというお値打ち品ですよ〜。もうありませんか? ありませんか!』
「53万!」
「55万!」
82番と105番の札を持った貴族が値段を競り、バイロンの値段はどんどん上がって行く。
「うう……60万だ!」
7番の札を持った貴族は我慢できず、元々の値段よりだいぶ跳ね上がった金額を口にした。
『そちら7番の方、60万! もうありませんか〜?』
7番の貴族が82番と105番の貴族を交互に見る。2人とも、札を上げる気配は全くない。
ディスコが舞台上に設置された台の近くまで行き、台を木槌で叩く。
『60万ベリーで決定!』
会場内はどよめいている。ーー60万もあったら、もっと他にもいい奴隷を買うことができるからだ。
「……あれって……」
「サクラだな」
「サクラ?」
ミーウの横でオークションを見ていたアユナが不自然に思って呟くと、その隣に座っていたケイトが言った。