第5章 重なる心と別れ
「これ……昨日、おれがお前にやったビブルカードじゃねェか」
キッドは怪訝そうな顔をした。
「違う」
ミーウは首を横に振った。
「“わたし”のビブルカード」
ミーウはキッドの赤い瞳を真っ直ぐ見つめる。
「“わたし”がいる方角がわかって、“わたし”の生命力がわかるビブルカードよ」
「……」
キッドは驚いた顔をして、黙ったままビブルカードを見つめた。ーービブルカードには“Miiu”と書かれていた。
「約束を破っておいて、自分はビブルカードだけ渡して島を出て勝手に航海をして……海賊になるのに……残されるわたしは何もしないで待つなんて、絶対に嫌!」
キッドは目を見開いた。
「わたしはわたしの海賊団を作る! そして……」
ミーウは笑った。
「キッドを倒して〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れる!」
ミーウの言葉に、アユナとキラーも驚いた顔をした。
「足手まといって言ったことを後悔させてやるから!」
キッドは渡されたビブルカードのネックレスとミーウを交互に見た。
「……」
(おれは……もしかして、勘違いをしていたのか?)
ーこの女が守られるような玉だったか?