第5章 重なる心と別れ
「……」
キッドはもう一度ミーウを見た。
「キッド! キラー!」
ミーウは再び、2人の名を呼んで彼らの目の前に来た。
「良かった……間に合った……」
ミーウは少しだけ乱れた息を整えた。
後ろからアユナも2人の元へ走って来る。
「キラー、約束通り来たよ」
アユナがそう言ってキラーに笑いかけると、キラーも仮面の中で笑った。
「ああ」
アユナはキラーに近付いて、昨日キラーが掛けてくれた上着を渡した。
「キラー、ありがとう」
「……わざわざ持って来てくれたのか?」
アユナは黙って頷いた。
キラーは仮面越しに優しく笑って、アユナの頭を撫でた。
「何で来た? 来ても海には連れてかねェぞ」
そんなアユナとキラーの雰囲気とは真逆で、ミーウとキッドはピリピリした雰囲気を醸し出している。
「わかってる」
ミーウはキッドの目を見て言った。
「もう連れてってなんて言わない」
ミーウは凛とした表情でキッドに言った。
「キッドには頼まない」
キッドはそれを聞き、少しだけ目を見開いた。
そんな様子のキッドを見上げて、ミーウは自分で作ったビブルカードのネックレスをキッドに渡した。と言うよりも、押し付けた。