第53章 シャボンディ諸島の闇
「次に、この島はみんなに言った通り、〈偉大なる航路〉前半の海の最後の島……“魚人島”に行って、向こう側の海に渡ることを目指す名の通った海賊がたくさんいると考えられるわ」
「……ユースタスもか」
「わからない。けど、キッドレベルの海賊なら……たくさんいると思う」
「……」
スレイジは瞳に怒気を含ませた。
「スレイジ、戦うのはダメよ」
ミーウはスレイジの殺気を感じて諭した。
「海軍本部が近くにあるのも相まって、海賊を捕獲するために将校レベルの海兵がたくさんいるはずよ。騒ぎがあったら、すぐにバレるわ」
「……わかった」
スレイジは拳を握り締めて、自分の中に湧き出た怒りを抑えた。
「それと最後に……“賞金稼ぎ”や“人攫い”は能力者や海賊も人身売買の対象としているから、目立つ行動は控えること」
「海賊も……ですか?」
ユイは驚いて、目を丸くしている。
「ええ、そうよ。特に……海賊の船長は狙われやすいわ」
アユナは隣にいるミーウを見た。
「副船長もでしょ? 天竜人の中に、変な趣味の奴がいるの」
ミーウは呆れたように目を細めている。
「……質問してもいいですか?」