第52章 〈偉大なる航路〉前半の海
「〈赤い土の大陸〉をか!?」
スレイジは目を見開いて驚いた。
「ええ、意外と簡単に上陸できるわよ?」
「そう……なのか……?」
「ただ……この壁の上には“世界政府”と“聖地マリージョア”があるの。その下の海には海軍本部もある。向こう側へ行くには“聖地マリージョア”に通行許可を得て横切り、また船を買い直して海へ入る。だけど、海賊が通ったら最後、インペルダウンへ送られてしまうのが目に見えてるわ」
ミーウは困惑しているスレイジを見た。
「安心して。それは1つ目の方法だから。言ったでしょ? 方法は2つあるって」
ミーウは船首から飛び降りた。スレイジもそれに続く。
「2つ目の方法は……陸に上がる通常ルートを避けて、〈赤い土の大陸〉の“聖地マリージョア”の真下の海中に空いた大地の穴をくぐり抜け、海中1万キロの“魚人島”を経由するコース」
「“魚人島”?」
アユナとミシュラ以外の船員たちは声を揃えて聞いた。
「ええ」
ミーウは笑った。
「〈赤い土の大陸〉の真下、海底1万キロに存在する島よ。そこには、リュウグウ王国と呼ばれる国があるの。ただ……」
笑っていたミーウは急に顔を曇らせた。
「海中航路を船で進むには船の特殊コーティングが必要になるの……。〈偉大なる航路〉の航路を辿ってきた海賊は……ある島に集まるわ」
「ある島?」