第44章 また会う時まで
ケイトが後ろから声をかけた。
「……何?」
ミーウは名残惜しそうに後ろを振り返って、ケイトを見た。
「……お前は……男が女に……左手の小指にはめる指輪を送る意味を……知ってるか?」
「……」
ー男の人が女の人に左手の小指にはめる指輪を送る意味……。ーー誰かに聞いたことがある気がする。でも……。
「……わからない……」
ー覚えていない。
「……そうか」
ケイトは目を細めた。
(左手の小指にはめる指輪を送る意味……それは……)
ー次は左手の薬指に指輪を送る。
「……」
(……言わない方がいいか……)
ー2人とも、そのことを知らないのだから……。余計なことはしない方がいい。
ケイトはため息をつきそうになるのを堪えた。
「ケイト?」
ミーウは首を傾げた。
ケイトは苦笑した。そして、ミーウの頭を撫でた。
「な、何よ! どうしたの?」
「いや?」
ケイトは笑いながら言った。
「もー! 何よー!」
「何でもない」
(ただ……)
ーまだ、わたしたちの船長でいてほしいだけだ。
ミーウは上目遣いでケイトを見た。
ケイトは相変わらず、笑い続けている。
「……ミーウ」
そんなミーウにスレイジが声をかけた。