第43章 あなたと交わった夜
エースの心臓の鼓動がすぐ近くで聞こえてくる。自分の鼓動も重なって、どちらの音が大きく跳ねているのかわからない。
「あの……エース……?」
ミーウはエースを見上げた。顔を上げると、少しだけ背の高いエースの顔がすぐ近くにあった。
「……」
エースは目を細めて微笑み、ミーウの唇に自分のそれを重ねた。
「エ、エース!?」
ミーウは顔を真っ赤にさせ、彼の胸に自分の手を置く。
「何だ?」
エースは自分から離れようとするミーウをさらに力強く抱き締めた。
「エース……」
「ミーウ」
エースはミーウの首筋に顔を埋める。
「エース……あの……」
「好きだ」
唐突に言われた言葉。夜になって少し肌寒い空気が揺れて耳に届く。
「……え……」
「お前は……覚えてねェと思うけど、初めて会った時から……ずっと好きだった」
「……」
ーー何年前かわからないが、初めて会った時から自分のことが好きだと目の前の彼は言う。でも……。
「わ、わたしは……天竜人で……」
「そんなの、関係ねェよ」
抱き締める腕に力が入る。
「おれだって……鬼の子だ」
「……」
ーー生まれて来た時から、生きていることが罪だと言われた2人。出会ったのは偶然か、それとも神様の悪戯か……。