第43章 あなたと交わった夜
「……」
アユナとミシュラがエースと話している間に、ミーウは自分の部屋から離れ、淡い月の光が降り注ぐ甲板に行った。そして、外の見張りをしていた仲間たちに対して、船の中へ入るように言った。船員たちは手負いのミーウが甲板で見張りをすることを反対したが、みんなも疲れているから寝てほしいというミーウのお願いに従い、渋々だが船の中に入って行った。
「……」
1人しかいない真っ暗な宵闇の中で、真っ黒な海が目の前に広がっている。ずっと見ていると、吸い込まれてしまいそうだ。
「……ミーウ」
船の入り口の方から名前を呼ばれて、ミーウはそちらに顔を向けた。
「……エース……」
声の主はエースだった。てっきり、いつものようにアユナが呼びに来ると思っていたのだが……。
「話は終わったの?」
「あァ」
エースは優しく微笑んだ。
(何の話をしてたんだろう?)
ーーこれは勘だが、何故か自分はその話を聞いてはいけない気がした。
「……」
エースは黙ったまま、少しずつミーウの元へと歩を進める。そして、ミーウの目の前まで来ると、彼女の肩を持って自分の方へと抱き寄せた。
「エ、エース?」